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コラム

うつ病で障害年金を請求することができます!

うつ病で障害年金を請求することができます!

うつ病でも、障害認定基準に該当していれば、原則障害年金を請求できます。 「障害厚生年金」とは、うつ病の症状で初めて病院を受診した日(初診日)に厚生年金に加入していた方に支給される年金です。 初診日に国民年金に加入していた方は、「障害基礎年金」が支給されますが、こちらには1級と2級しかないので、3級がありません。


障害年金制度とはどういう制度?

病気やケガなどによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受給できる年金です。申請は原則20歳から65歳未満までに行う必要があります。初診日要件、年金の納付要件や障害の程度などの受給できる条件を満たしていれば、受給することができます。

障害年金の等級は1~3級ですが、1級が一番重い障害で、以下2級、3級となります。初診日(病気のために初めて病院に行った日)に加入していた制度によって年金を受給できる等級が違ってきます。

※初診日に国民年金に加入していた場合は(障害基礎年金)1級もしくは2級のみしかありません。(障害基礎年金には3級はありません。)

※初診日に厚生年金に加入していた場合(障害厚生年金)1級、2級、3級、もしくは障害手当金(障害厚生年金には3級及び障害手当金があります。)

まずは、ご自身で障害基礎年金になるのか、もしくは障害厚生年金になるのかを判断してください。


障害年金を受けるための3つの要件

障害年金は、(1)初診日要件(2)保険料納付要件(3)障害の程度が認定基準に該当すること、3つの要件とも満たさなければ受給できません。以下で、順にご説明します。


要件1 初診日はいつですか?

うつ病の症状で、初めて病院を受診した日、または初めて病名を医師から告げられた日を「初診日」と言います。

うつ病で辛い思いをしていらっしゃる方々の多くは、不眠や気分の落ち込み、吐き気・食欲不振などの症状で病院を受診された方がほとんどではないかと思います。そのような方々のなかには、最初からうつ病と診断されず、パニック障害、強迫性障害、適応障害、不安障害などの傷病の診断を受けるケースも多々あると思われます。

このような場合でも、病名が違うとして全く別の疾病として判断するのではなく、最初に診断された傷病とうつ病は相当因果関係があると判断されるため、最初に診断された傷病のために病院を受診した日が初診日と判断されることが多いので、注意が必要です。


要件2 初診日までに一定以上の年金を納めていますか?

初診日までに一定以上の年金保険料を納めていることが、2つ目の条件です(保険料納付要件と言います)。

初診日の時に国民年金、厚生年金、共済年金に加入していた方で、

① 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること(原則)

または

② 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと(特例)

上記①か②のいずれかを満たしていればOKです。初診日の時点で20歳未満であった方は保険料納付要件については問われません。ただし、年間所得が一定以上であると、支給額に制限がかかる場合があります。


要件3 症状が認定基準に該当していること

障害の程度が認定基準に該当するかどうかが、3つ目の条件です。

障害の程度 障害の状態
1級 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの。気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの。
2級 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため、人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、日常生活が著しい制限を受けるもの。気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又は頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
3級 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの。気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続し又は繰り返し、労働が制限を受けるもの。

2級は日常生活を送る上で、家族の支援が必要であり、仕事ができない状態である状況です。

3級は病気のため、一部労務不能の状態です。

精神疾患は具体的なMRI検査や血液の検査の数値結果等により判断することはできないため、以下の項目により何級に該当するのか一定の判断をします。(平成28年9月より、認定基準をより具体的に示した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が発表され、新たに審査の基準となっています。)


精神の障害に係る等級判定ガイドライン

  1. 日常生活能力の判定

① 適切な食事
② 身辺の清潔保持
③ 金銭管理と買い物
④ 通院と服薬
⑤ 他人との意思伝達及び対人関係
⑥ 身辺の安全保持及び危機対応
⑦ 社会性

①~⑦項目について、医師により4段階に評価をします。

  1. できる
  2. 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする
  3. 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
  4. 助言や指導をしてもできない、若しくは行わない

「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽い方から1~4の数値に置き換え、その平均点を算出します。

  1. 日常能力の程度

以下の(1)~(5)のいずれかを医師により判断してもらいます。

(1) 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
(2) 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
(3) 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
(4) 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
(5) 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

上記(1)から(5)のいずれかを選びます。

その選んだ数値の程度について、先ほどの日常生活能力の平均値と「精神障害の程度」をクロスさせ、等級が決まります。

【具体例】
日常生活能力の判定について、平均点が「3」であれば、日常生活能力の程度で(4)であれば「2級」が認定されます。

うつ病で障害年金を受給するための具体的な手続き

ここまで、障害年金が申請できる要件についてご説明してきましたが、ここからは障害年金を受給するための具体的な手続きについての説明をしていきます。

1. 受診状況等証明書の取得

「受診状況等証明書」とは、うつ病の症状で初めて病院を受診した日(初診日)を証明するための書類です。障害年金の受給資格や納付状況を確認するために、かならず初診日を証明しなければなりません。初診日に受診していた病院で作成を依頼してください。(診断書を書いてもらう病院が初診病院である場合は必要ありません。)

よくあるケースでは、例えば「日常生活では就労しているため、うつ病で障害年金を受給できるとは知らなかった」や「初診の病院は覚えているが、もうすでに20年以上経過している」などがあります。

病院でのカルテの保管期間は通常5年ですので、破棄されている可能性があります。また、病院が廃院になっていて受診状況等証明書が取得できないことがあります。このような場合は、診察券や生命保険の給付申請時の診断書、診療報酬明細書、領収書、または第三者証明などの資料で初診日を証明できる場合があります。


2. 診断書の取得

現在の病状について、医師に診断書を作成してもらいましょう。特に精神障害の場合、診断書の内容が障害年金の基準に達していなければ、不支給となる可能性がありますので、提出前に内容を十分に確認することが重要です。

遡及請求ができる場合

初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)に認定基準に該当する場合は、障害年金をさかのぼって請求できる可能性(遡及請求)があります。そのため、診断書は障害認定日から3ヶ月以内の症状のものと、現在の症状の2通の診断書を用意する必要があります。


3. 病歴・就労状況等申立書の記入

「病歴・就労状況等申立書」は、発病時から現在までの経過を3~5年に区切って申告するための書類です。受診状況等証明書や診断書は病院や医師に記載してもらいますが、この書類は請求者が作成するもので、今までの病歴や日常生活、就労状況について自身で申告します。

特に、精神障害の場合は診断書と病歴・就労状況等申立書の内容の整合性が非常に重要です。以下のポイントに注意して具体的に記入してください。

受診していた期間について

  • どのくらいの期間、どのくらいの頻度で受診したか
  • 入院した期間やどんな治療をして、改善したかどうか
  • 医師から言われていたこと
  • 日常生活状況(具体的にどんな症状があり、どのように困っていたか)
  • 就労状況(週に何日、1日何時間働いているか。仕事中や仕事後に体調に変化があれば記入する。病気のために生じている仕事の制限や職場での配慮があれば記入する)

受診していなかった理由

  • 自覚症状がなかった、経済的に行けなかったなどの理由
  • 自覚症状の程度(例:体重が減ってきた、疲れやすくなったなど)
  • 日常生活状況(例:階段を上ることがつらくなったなど)
  • 就労状況(病気によって仕事に支障をきたしてきたことなど)

障害年金が不支給になる場合の対処法

(1) 診断書の内容について

  • 診断書の病名が障害年金の対象病名でない場合:神経症とされるパニック障害、人格障害、不安障害、強迫性障害などは障害年金の支給対象にはなりません。まずは自身の病名を確認してください。
  • 障害認定基準に達していない場合:精神障害には定められた認定基準があります。自覚している病状が障害認定基準に達しているかどうかを確認しましょう。例えば、症状が常に出現しているが、一般雇用で週5日程度労働をしている場合などは、受給できない可能性があります。

もし、休職中や就労していない場合など、自覚している病状や日常生活の状態と診断書の内容が異なる場合は、受診時に正確に主治医に伝わっていない可能性があります。うつ病や双極性障害、統合失調症などの患者は、病状や日常生活の状況を正確に伝えることが難しい場合が多いです。通院時には家族等に付き添ってもらい代わりに話してもらうか、日常の症状や生活状況をメモに取り、それを医師に渡す方法も有効です。

(2) 申立書の内容の整理や内容のチェックが必要です

申立書は病歴経過や通院歴等を記載するだけでなく、具体的な日常生活の状況も記載することが重要です。家族や周りの人に助けてもらっていること、一人ではできないこと、福祉サービスの利用状況なども具体的に記入しましょう。また、診断書との整合性を確認し、内容が異なる場合は修正を検討しましょう。


障害年金が不支給になった場合の対応

(1) 審査請求

不支給決定に不服がある場合は、地方厚生局・社会保険審査官に対して審査請求が可能です。

(2) 再審査請求

審査請求に対して不服がある場合は、再度、社会保険審査会に再審査請求を行うことができます。

(3) 審査請求や再審査請求の注意点

不服申立ては、国の判定の見直しを求めるため、非常に難しい手続きです。結果が出るまでに長期間かかり、労力も必要です。また、審査請求や再審査請求には期限があるため、注意が必要です。

(4) 不支給決定後の再申請

一度不支給決定を受けた後、経済的不安や将来への不安から病状が悪化するケースもあります。その場合、病状の変化を主治医に伝えて再度申請することが可能です。この際、前回の申請内容を確認し、改善点を踏まえて再提出することが重要です。


障害年金の等級が予想より低かった場合の対応

障害年金の請求結果が予想より低い等級で決定した場合や、請求後に病状が悪化した場合は、「額改定請求」を行うことができます。病状の悪化を示す診断書を提出し、改めて審査を受けることで等級が変更される可能性があります。この手続きは、原則として障害年金を受ける権利が発生した日、または障害の程度の審査を受けた日から1年経過してから可能です。

お問い合わせ

万が一不支給決定通知書が届いた場合で、請求者(ご家族)様が、納得できない場合は、
「再請求(再び裁定請求)」「不服申し立て(審査請求)」「再審査請求」を再度の着手金なしにてお引き受けします。
つまり最初の着手金だけで裁定請求→再請求→不服申し立て→再審査請求までサポートいたします。

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