腎疾患(人工透析を受けている方)は、障害年金の申請において重要なポイントを持っています。特に人工透析療法を受けている方は、原則として障害等級2級に該当することが一般的です。この障害年金の受給対象となる条件や申請のプロセスについて、しっかり理解し、正しく申請することが非常に重要です。
人工透析と障害年金の関係
人工透析療法には、血液透析、腹膜透析、血液濾過の3つの方法があります。これらいずれの透析方法においても、認定の基準は同じで、原則として2級の障害年金が適用されます。現在、糖尿病や腎疾患によって人工透析を受けている方は、全国的に約32万人に達しており、その数は増加傾向にあります。
糖尿病を患っている方が病気休職者の中で最も多いという現状もあり、人工透析を受ける方々の多くが身体障害者手帳1級を所持していますが、障害年金を受給していないケースも多く見られます。障害年金の受給要件を満たしているにもかかわらず、申請を行っていないために受給できていないことは非常にもったいないことです。
当事務所では、人工透析を受けている方の障害年金申請を多く手掛けており、無料診断を通じてサポートを提供しています。
糖尿病と障害年金の関係
糖尿病はその進行がゆっくりで、初期症状から慢性腎不全および人工透析に至るまでに非常に長い時間がかかることが多いです。このため、申請の際に初診日を特定することが難しく、カルテが廃棄されているケースも少なくありません。結果として、「初診日がわからない」「病院のカルテが残っていない」という問題に直面し、障害年金の申請を諦めてしまう方が多いのも現実です。
しかし、当事務所では、初診日が特定できないケースでも、障害年金を受給できた実績が多数あります。ヒアリングに時間をかけ、細かな情報を収集し、障害年金の請求を進めるためのサポートを提供しています。
また、腎疾患の場合、初診日認定に関するアンケートの提出が必要です。このアンケートは初診日認定の参考となる重要な書類ですので、正確に記入することが大切です。
障害年金申請の事例紹介
腎疾患による人工透析の事例をいくつかご紹介します。
事例1:高血圧性慢性腎不全による人工透析
患者:青森県 Kさん(48歳 男性)
- ・病名:高血圧性慢性腎不全
- ・症状:長年高血圧に悩まされており、倦怠感や呼吸困難を自覚。初診は平成9年に近隣の病院で行われ、その後大学病院にて高血圧の治療を受けるが改善せず、平成26年に人工透析を開始しました。発症から人工透析開始まで約17年を経ています。
- ・請求結果:障害厚生年金2級が認定されました。
認定のポイント:
- 1.初診日の証明ができたこと:糖尿病や高血圧から人工透析までの期間が10〜20年と非常に長いケースが多く、初診日を証明するカルテが廃棄されていることが多いですが、この事例では、幸いにもPCに名前と初診日が記録されており、初診日を証明することができました。
- 2.受診状況等証明書の整備:紹介状や受診状況を丁寧に記載してもらい、初診日を認定できました。
- 3.診断書の確認:診断書の内容をしっかり確認し、必要に応じて修正を依頼することが重要です。この事例では、診断書の誤記載がありましたが、その場で修正依頼を行い、適切な等級が認定されました。
初診日が特定できない場合の対策
糖尿病など、腎疾患は長期間にわたって進行するため、初診日が特定できないケースが多くあります。このような場合、健康診断の記録や当時の医療機関の受診履歴が非常に重要になります。また、家族や周囲の証言、過去の保険診療記録なども役立つことがあります。
腎疾患における障害年金の請求プロセス
腎疾患の場合、初診日が重要なポイントとなりますが、それ以外にも人工透析の開始日や、その後の病状の進行度合いも認定の基準となります。人工透析が開始されると、通常は障害年金の2級以上が認定されますが、診断書や申請書類の不備があると認定されないケースもあります。
- ・初診日特定の重要性:初診日が特定できない場合、請求が困難になるため、最初に診察を受けた病院や健康診断の記録をしっかり保管しておくことが重要です。
- ・障害認定日:人工透析が開始された日から3ヶ月が経過すると、障害年金の請求が可能になります。
障害年金請求における腎疾患の障害等級認定基準
腎疾患の障害認定基準は、平成27年6月1日に一部改正されました。新しい基準では、検査項目が追加され、判断基準がより明確になりました。
障害等級の認定基準
- ・1級:日常生活がほぼ寝たきりで、家族の助けがないと生活ができない程度。
- ・2級:日常生活に著しい制限があり、家族の助けを借りる必要がある程度。
- ・3級:労働が制限を受けるか、労働に制限が必要な程度。
腎疾患の認定における注意点
- ・腎疾患の障害認定は、慢性腎不全が対象となります。慢性腎不全とは、腎機能が持続的に悪化し、人工透析が必要になる状態です。
- ・認定には、尿検査や血液検査、腎生検などの検査結果が使用されます。透析の実施状況や日常生活の制限度合いが総合的に判断されます。
まとめ
腎疾患による障害年金の申請は、初診日特定や診断書の整備が非常に重要です。特に、人工透析を受けている方は、障害年金の2級以上が認定される可能性が高いですが、申請の手続きが複雑であるため、専門家のサポートを受けることを強くお勧めします。
当事務所では、腎疾患による障害年金申請に関して豊富な経験がありますので、ぜひご相談ください。